| その１.ナイトメアの場合 「見るからに好みじゃないわ」 カサンドラのこの言葉を聞いて、ナイトメアはむすっとなった。 「．．．．．．お前、人の正体知っていて言っているのか？」 カサンドラは答えた。 「ええ。．．．自分の父親を殺しておいてそれを忘れた挙句、 邪剣に騙されて大量虐殺をやってのけた男、ってね」 ナイトメアは閉口した。 確かにそれは事実だ。今さら弁解しても意味がない。 だが。 「顔は自分で言うのもなんだが、悪くはない」 カサンドラは「嘘だあ！」とかん高く笑った。 「あんたの姿からじゃ、想像できないわ！」 「なら、素顔を見せてやる」 ナイトメアはそう言うと、左手を冑に伸ばした。 青い冑が左腕の動きと連動して、ナイトメアの顔から離れていく。 その下からは、白色人種特有の白い肌が見えた。 端正なあごのライン。 美しい唇。 そして、筋の整った鼻。 カサンドラが息を飲む。 (意外といい男かも．．．．．．？) 冑に遮られたナイトメアの目が、白日の下のさらされようとした、その瞬間！ 「ここまでだ！」 どこからか丸太が飛んできて、ナイトメアの腹に炸裂した。 吹っ飛ばされたナイトメアは教会の壁を突き破り、はるか彼方へ飛んでいってしまった。 「おわああああああ・・・・・・！」 ナイトメアの飛んでいった方向に向かって、丸太を左手に持った金髪の男が吐き捨てた。 「もう二度と出て来るな！」 男はカサンドラに何も言わず、丸太を担いですたすたとその場を立ち去った。 「あの人、誰？・・・え、ナイトメア２Ｐ？」 教会の階段を降りていく男を見下ろして、カサンドラは一言。 「・・・・・・やっぱり、私の好みじゃないわね」 |
