| その２.ラファエル．ソレルの場合 「見るからに好みじゃないわ」 カサンドラのその言葉を聞いて、ラファエルはこう言い返した。 「．．．人の好みに文句を言う気はないが、ずいぶんと無礼な女だな」 カサンドラが反論する。 「元貴族のロリコン男に言われたくないわ」 ラファエルがわずかに眉をつり上げた。 「．．．．．．確かにエイミは子供だが．．．．．．少女を引き取って 面倒みていると言うだけで『ロリコン』呼ばわりはなかろう」 「女の子を“大切な存在”と思った時点ですでにロリコンなの！」 ずけずけと言い返すカサンドラに、ラファエルはむきになった。 「では、貴様の好みは何だ？！」 ラファエルの言葉に、カサンドラはきっぱりと答えた。 「年下」 「と．．．年下？！」 ラファエルは驚きの声をあげた。 カサンドラがこくりとうなずく。 「．．．ユンスンのような奴が好みなのか？」 ラファエルの問いかけに対し、カサンドラはきっぱりと否定した。 「あんな無鉄砲なヤンキー、好みじゃないわ。・・・・・・私の好みは、 かわいくて、元気で．．．．．．あ、ああいう子」 カサンドラが書斎の出入り口を指差す。 出入り口のそばには、この城に小姓として奉公している少年が立っていた。 少年はこの城に雇われたばっかりの１２歳。金髪に青い目の、愛らしい美少年。 カサンドラはうっとりと、その少年を見つめていた。 「小さい頃の弟そっくりで、かわいい〜」 カサンドラはふらふらと引き寄せられるように少年に近づいた。 すっぽかされたラファエルは、困惑した顔で執事を呼んだ。 「お呼びでしょうか？」 ラファエルはあごをしゃくった。 二人の視線の先には、楽しげに会話するカサンドラと少年。 ラファエルは執事に命じた。 「あの小姓．．．今週中に実家に返せ」 執事はラファエルの危惧していることをすぐに察し、答えた。 「かしこまりました」 |
