| その３.キリクの場合 「見るからに好みじゃないわ」 カサンドラにそう言われたキリクだが、あまり気にしなかった。 好みは人それぞれだから、それを否定しても意味がない。・・・それよりも、今は目の前の敵を倒すのが先決だ。 キリクは棒を構えた。 「さあ、来るんだ！」 ”ＢＡＴＴＬＥ １．．．．．．Ａ ＮＥＷ ＣＨＡＬＬＥＮＧＥＲ ＣＯＭＥＳ！” 「え？！」 突然の乱入者に、二人は驚く。 驚いた二人の視線の先には、カサンドラより一回り背の低い、中国人の女性。 「シャンファ？！」 キリクがパチパチとまばたきした。 シャンファはキリクを一瞥し、にこっと笑う。 そして、カサンドラに顔を向けて一言。 「“見るからに好みじゃない”って、それ、失礼じゃないの？！」 カサンドラが言い返す。 「『好みじゃない』って独り言を言うことの、どこが悪いの？」 シャンファが応戦する。 「独り言にしては、声が大きかったわよね〜、ねえ、キリク？」 シャンファに声をかけられ、キリクは「あ、ああ．．．」と答えた。 カサンドラがシャンファに向けて、意地悪な笑顔を浮かべる。 「もしかしてああいうのが好みなの？！めっちゃくちゃ暗そうだし、背は私とあんまり変わらないし〜・・・あんた、おかしいんじゃないの？」 シャンファが顔を赤くする。 「仲間なだけで、別に好みとかそういうもんじゃないわよ！それに何よ、『おかしい』って！．．．．．．もう頭にきたわ！」 シャンファが剣を構えた。 カサンドラも不敵な笑みを浮かべる。 「望むところよ！」 臨戦体制の二人の間に、キリクがわって入る。 「ちょ、ちょっと二人と．．・．．．」 「やかましいわ！」 次の瞬間。 キリクは二人に殴られ、石畳に叩きつけられた。 「．．．ケンカ売られたの、俺なのに．．．」 キリクはその言葉を残し、気を失ってしまった。 ”ＢＡＴＴＬＥ １,ＦＩＧＨＴ！” ちなみに、カサンドラとシャンファの戦いの結果は、誰も知らない．．．．．．。 |
